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中国の冬はイエイメイを食べる!?

へびのスープ

北風が吹いたら、イエイメイ(野味)を食べろ!

 広東人の冬の愉しみ。冬の名物。無類の食いしん坊で「不時不食(旬でないものは食べない!旬なら、なんでも食べる?)」の広東人。彼らの指もムズムズしてくる「お目当て」はずばり、ハクビシンやアルマジロ、イノシシ、ヘビ、ネコ、ミミズクといった「イエイメイ(野味)」です。つまり野生の鳥獣類なのです?ゲテモノと尻込みする気弱い日本人などは尻目。全員、嬉々と市場へ向かいます。

 いよいよ冬本番。栄養をたっぷり貯えた冬眠前の野味は、いまが一番の食べ頃。人々はひと冬を元気に乗り切る精をつけるため、まるまると肥えた野生動物の生命を、頭から尻尾まで何ひとつ無駄にすることなく食べ、その生命からありがたく生きるパワーを戴くのです。まさに医食同源。多種多様な調理法を駆使して、これらツワモノたちをいかに美しく食べるか知り尽くしています。

広東の市場は動物園!?

 中国へ食の旅に出かけたら、私は迷わず街の市場へ直行です。色とりどりの大皿料理の並ぶ高級料理店もいいけれど、まずは人々の集まる食の源、さまざまな「生きた」食材の圧倒的なパワーをこの目で確かめて、「郷にいれば郷に従え」と胃袋に渇を入れるが良し。特に広東では野味専門の市場が有名です。

 人の群がる市場通りに一歩足を踏み入れる。いきなり「どけどけ!どけー!」と頭に腹を開いたブタを抱えて肉屋のお兄ちゃんが走っていきました。2メートルもあり胴が太いニシキヘビが見事な手さばきで丸裸にされ、子鹿やラクダが包丁一本、勢いよく解体されます。水を張ったタライの中でハクビシンは白い胴体の毛を剃られ、どんどん下処理されます。あっちの店では皮を剥がれたウサギがずらりと頭を籠に並べ、こっちの店では天井まで積まれた鉄檻にイヌやネコ、ハリネズミやヒナバトなど、ありとあらゆる生き物などが、ぎっしり満員電車のように身を寄せ合っています。もちろん漢方料理の高級食材、タカやフクロウもおりました。

 道路のバケツやたらいには、黒々としたサンショウウオ、カエルやスッポン、大小のカメ。サソリも縁日の夜店みたいにテンコ盛りにて売られています。強烈な命の匂いにむせかえり、売る方も買う方も真剣勝負。大声のケンカ腰には幸せの活気がみなぎります。

鍋やスープ、あらゆる調理法を選んで

 これら冬の野味。広東人にとって実はけっこうな嗜好品とのこと。絶滅の危機に瀕して保護動物に指定された食材も年々と増えて、滋養に富んだ本物の入荷は困難な上に、かなり高価。しかも、やっぱり丸々1匹食べることが本望です。料理店で食べるなら、食卓を囲む同志を集め、予約を早めに入れて食材の確保と手間ひまのかかる仕込みをお願いします。

 かつて私も広東の山奥では「高級」といわれた野味専門店で中国人から接待を受けたことがあります。タヌキ鍋やスッポンとイヌの煮込みには−−「うーん、うーん」独特のクセが確かにあるけれど、たっぷりの脂とゼラチンが濃厚に凝縮されて、いかにも精がつきそうな料理でした。ただし最後に供された土鍋御飯の蓋を開けると、真っ赤なトサカつきでニワトリの頭が盛られていて思わず椅子から腰が浮きました……

体ポッカポカ、ヘビはみんなの大好物

 敢えて私がお薦めしたいのは冬場のヘビのスープ。香港の街中にも多いヘビスープ専門店。体が冷えた時や疲れを感じたときに「ちょっと一杯ひっかける」ような感じで啜っている姿をよく見かけます。ヘビの細切りをはじめ、ハムやシイタケなどが入ったとろみたっぷりのスープ。鶏肉そっくりで意外にあっさりとした味がうまい。店を出る頃には体の中からポカポカと暖まっているので、是非お試しを。

 腹が減っては戦は出来ぬ。力をつけねば冬は越せぬ−−暑いの寒いのと騒ぐ前に中国人の生命力を見習いたいものです。
(2004/12/07)

佐野由美子(さの・ゆみこ)
 レストランプロデューサー、中国料理研究家。
広東名菜「赤坂璃宮」をはじめ各地の中国料理店の顧問などを務める。中国茶講師としても活躍。中国の食文化の普及に貢献したとして平成15年度社会文化功労賞を受賞。
 代表取締役を務めるカメリアエンタープライズは、ホテルなどのレセプションや食にまつわるイベントの企画、コーディネート、運営などをサポートしている。




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