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月に想い寄せて “月餅”

月餅の山盛り

中秋に贈る銘菓

 お月見はいかがでしたか? 中国のお月見に欠かせないのが月餅のお菓子。そう、あのずっしりと大きな月餅が街に出回るのは、本場では「秋」の今の時期だけ。1年中店で売っている日本とは違う。なぜって、中秋節に月餅を買うのは自分で食べるためではない。親戚や友人、郷里の家族たちに贈るため−−お世話になった人に月餅を贈る。中秋の月餅は、お中元やお歳暮のようなものだ。 この月餅、1箱4個入りが基本。8個贈るときは4個入り2箱とする。中国では偶数がラッキー。「双」の倍数が縁起が良いから4の倍数となるのだろう。

まあるい幸せ

 さて、この堂々たる中国の月餅。中身がこれまた幸せ色なのだ。半分に切ると中から鮮やかな黄色いお月様が顔を出す。こっくりと濃黄色。アヒルの塩漬け卵の黄身(蛋黄)である。まろやかな塩味が、ねっとりとした周りの餡(あん)とからんで口に広がる。餡は蓮の実が一番ポピュラー。他にも黒ごま餡、くるみ餡、木の実入り、ココナッツ入りなどなど。中には叉焼や腸詰めなどの甘くない具もあり、地方や店によって作り方も様々。

 同じ蓮の実餡(蓮蓉月餅)でも値段が異なるが、包丁を入れると納得できる。卵の数が違うのだ。2つ入りは「双蓮蓉月餅」という。やっぱり「2つ」は尊ばれる。

 横浜中華街にある古い中華菓子舗のご主人に聞いた話。蓮の実の餡も昔は1つずつ蓮の実の皮をむいて手間をかけて作ったものだが、今ではどこの店も出来上がった餡を外国から輸入している。黒餡にしても昔の作り方は、動物の脂をしっかり練りこんでいたが、今はピーナッツ油でさっと炒める店がほとんど。月餅もヘルシー志向に変わりつつあるようだ。

 月餅の主役であるアヒルの塩漬け卵は、殻付きのまま中国から輸入している。そして、いかにも中華菓子らしい風貌の表皮の焼き色。黄金に輝く文様は、店こだわりの木型で抜く。文様はそれぞれの店の屋号であったり、花や兎の意匠だったり。 ちなみに月餅の形はまん丸。月も丸いし卵黄も丸い。中国人は丸いものを団欒の象徴と考え、正月にも丸餅を食べる。なんとなく、家族をこよなく愛する中国人のおいしい形!

冷たい月餅?

 木型で象った月餅はオーブンに入れて約25分で焼き上がると聞いた。香港を訪れたとき、上海式の月餅をうたって熱々を売りにしている店があった。かと思えば、香港で最近の人気はなんと「アイス月餅」だという。雪見大福のように餡がアイスでできているのだとか。ハーゲンダッツにも外見は月餅そっくりのアイス月餅が登場して話題をさらっているという。もっとも4つでHK$300もするので庶民には「月」になかなか手が届かないそうなのだが。
(2004/10/05)

佐野由美子(さの・ゆみこ)
 レストランプロデューサー、中国料理研究家。
広東名菜「赤坂璃宮」をはじめ各地の中国料理店の顧問などを務める。中国茶講師としても活躍。中国の食文化の普及に貢献したとして平成15年度社会文化功労賞を受賞。
 代表取締役を務めるカメリアエンタープライズは、ホテルなどのレセプションや食にまつわるイベントの企画、コーディネート、運営などをサポートしている。




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