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茶葉料理、身も心も綺麗に

捨てるなんてもったいない!

龍井蝦仁――ロンジンシャーレン。4月初旬の清明節以前に摘んだやわらかな新茶と芝エビをさっと炒める。龍仁茶は千年以上の歴史を持つ杭州の緑茶。本場では川エビを使う。

 いきなりで恐縮ですが「高山茶チャーハン」の作り方です。鍋をよく熱しタマゴが半熟になったらごはんを投入。塩コショウ、オイスターソースで味付けをし、先ほど飲み終えて急須に残っている高山茶を小エビやネギなどの具と一緒に加え、強火で炒めます。茶葉のわずかな渋味とチャーハンの塩味が口の中で絶妙にとけ合います。ぜひ1度、お試しください。ちなみに高山茶とは、山の頂付近で採れる良質な中国茶の総称です。質のいいお茶はお湯で開いても茶葉がふっくら大きいので料理向きです。チャーハンの他にも私が「茶葉入り卵焼き」や「烏龍茶のお茶漬け」を家でよく食べると言うと、聞いた人は一様にえっ?と怪訝な顔をするのですが――美味しいンだな、コレが。

 茶葉を入れた「かき揚げ」もわが家の自慢料理のひとつだし、夏になれば冷蔵庫に「烏龍茶」や「プーアール茶」のゼリーは欠かせません。これがまた目に涼やかで、お客様に大好評のデザート。要するに私は、いい茶葉が手に入ったときには飲み終わった茶葉をカンタンには捨てられないのである。

体じゅうの細胞が蘇る山の幸

 私がそもそも、この「茶葉を食べる」ことを教わったのは、台湾に歴代続く銘茶園で生まれ育った女性から。この方、50歳を過ぎてもすこぶる美しく、羨ましいくらいの見事なスタイルの持ち主。今までカゼひとつひいた事がないとおっしゃるので秘訣を伺った。朝、昼、晩と上質の中国茶を愛飲しているのはもちろん、毎朝起きるとひと口の烏龍茶のお茶漬けを食し、飲み終わった茶殻は刻んで、他の材料と共に炒めたり、揚げたりして普段から食べているという。彼女曰く、「だってせっかくの体にいい栄養分がもったいないじゃない」

 後日、彼女の生家、台湾の文山地区に茶作りの見学に連れていっていただく機会に恵まれた。台北からクルマで約90分。山頂一面に茶畑の緑と清澄な山の空気が広がる。4代目茶師、蔡文益氏の作る「白雲山包種茶」の清々しい喉越しとランの花のような甘い香りは一生忘れないだろう。さらに私にとって驚きだったのは、滞在中にごちそうになった茶葉料理の創意工夫と珍しさだ。摘みたての新芽をフリッターにしたり、しいたけや竹の子とさっと炒めてみたり。供された皿はどれもあっさりしていて、まさに自然の味わい。体じゅうの細胞が活性化しそうな山里の料理だった。

 台湾には「茶芸館」といわれる中国茶専門店が数多くある。そこでは実に色々な「茶葉」を使ったデザートや料理(茶菜)がメニューに並ぶ。中でも「川エビと龍井(ロンジン)茶の炒め」や「白玉団子と茶葉のシロップ」はよく知られる。なるほど台湾の人のお茶好きは有名だが「お茶」は飲んで香りを愛でるためのものだけでなく、「茶葉」自体も大切に自在に使いこなして愉しんでいるようだ。

燻し銀の味が光る名脇役

 茶葉を料理に使う調理法は実にさまざま。お茶の出し殻を固くしぼって細かく刻んで他の材料と共に炒めたり、天ぷらのように揚げたり、トンポーローのように固まり肉と煮込んだり、魚を香り蒸しにしたり。また、茶葉を用いた燻製だとか烏龍茶の液に肉を浸すといった調理法もある。中国茶の炊き込みごはんもおつな味。茶葉は中国料理の「名脇役」なのだ。どれも渋味や香りといった中国茶の風味を生かして、料理の味をあっさりと引き立てている。肉や魚の臭みや油っこさを見事に消しているのも中国料理の技のひとつだろう。食べ終わったあとのすっきり感が体に気持ちいい。何といってもお茶はローカロリーで消化を促進するので料理との相性もバツグンなのだ。

 「茶カテキン」が体に良いと話題になっている。抗酸化作用が生活習慣病やガン予防にも効くといわれる。お茶はビタミンが豊富。特にビタミンC(美肌効果)やE(新陳代謝、老化予防)が多いのも女性に愛される理由のようだ。中国茶が肥満防止やストレス解消にとても良いのは、自分が20年間飲み続けていて特に実感しているところだ(いけない、歳がバレてしまう)。

 せっかくのお茶の効能も「飲む」だけではその一部しか得られない。「おいしい茶葉料理」は、体にやさしい中国伝統の知恵。一枚のお茶の葉は手間ひまかけて香り高い中国茶となる。やはりいい茶葉は飲み終えても捨てられないのである。

(2004/3/1)

佐野由美子(さの・ゆみこ)
 レストランプロデューサー、中国料理研究家。
広東名菜「赤坂璃宮」をはじめ各地の中国料理店の顧問などを務める。中国茶講師としても活躍。中国の食文化の普及に貢献したとして平成15年度社会文化功労賞を受賞。
 代表取締役を務めるカメリアエンタープライズは、ホテルなどのレセプションや食にまつわるイベントの企画、コーディネート、運営などをサポートしている。






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 新しく銀座の交詢ビルにオープンした赤坂璃宮。限りなく本場広州に近い、素材の旨味を生かした広東料理にこだわる。
スッポンのスープや煮込みなど、早めの予約が必要とのこと。可能な限り食材を手配して応えるという。


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